韓国のガールズグループMADEIN(メイディン)の元メンバーに対する強制わいせつ疑惑が波紋を広げています。所属事務所143エンターテインメントの代表プロデューサー、イ・ヨンハク氏が、事件発覚後に謝罪の覚書を作成していたにもかかわらず、虚偽の声明を発表していた事実が明らかに。被害者側は記者会見を開き、告訴に踏み切った経緯と、隠されてきた実態を告発しました。
143エンターテインメント、初動は「事実無根」主張

2024年11月23日、韓国ガールズグループ『MADEIN』のメンバーであったガウンが、所属事務所の代表からセクハラを受けたとする録音内容が、韓国ケーブルテレビのJTBC「事件班長」で報じられ、波紋が広がった。
これを受け、MADEINが所属する事務所『143エンターテインメント』は、同日すぐに公式SNSを通じてコメントを発表。「番組で言及されたメンバーと代表の間にはいかなるセクハラ、その他の性的接触もなかった」「報道内容は事実無根」と強く否定した。
また、ホテルに関する噂についても「知人と一緒にいた場だった」と釈明し、報道内容の信憑性を否定。「突然のことでご心配をおかけし、深くお詫び申し上げる」と謝罪する形を取った。
その後約半年近くの期間、この件に関する具体的な対応は有耶無耶になっており、被害者であるメンバー・ガウンは脱退、グループ活動は引き続きおこなわれていた。
被害者側が告発、「謝罪の覚書」も公開
2025年4月29日(火)、MADEINの元メンバー・ガウンの母親とハンビッメディア労働人権センター(以下、ハンビッセンター)は、ソウルプレスセンターで緊急記者会見を開催。
記者会見では、143エンターテインメント代表イ・ヨンハク氏による強制わいせつの事実と、その後に交わされた謝罪の覚書の存在が明らかにされた。
母親側によると、事件は2023年10月に発生。当時未成年だったガウンを代表室に呼び出し、3時間にわたる暴言と脅迫の末、強制わいせつ行為をおこなったという。
さらに事件直後、イ代表は自身の過ちを認め、「被害者に不利益が生じないようにする」「第一線から退く」と約束する内容の覚書を書いたそう。しかし、実際にはこれらの約束は守られなかった。
代表は一転して「被害者側の提案だった」と主張
イ代表は、JTBC「事件班長」でのインタビューでは「該当のメンバーが『グループで活動を続けられるようにしてほしい。1日彼女になってあげる』と先に提案し、映画も向こうから連れて行ってほしいと話した」と反論。
しかし、記者会見で公開された覚書や、母親の証言と矛盾しており、主張の信憑性に疑問が生じている。
ハンビッセンター側は、「被害者は加害行為に抵抗できない状態にあった」と説明。録音放送後も、代表から脅迫や圧力が続き、被害者とその家族は精神的に追い詰められたという。
ガウンの母親、涙の訴え「娘を守れなかった」
記者会見でガウンの母親は、涙ながらに「娘は小さい頃から明るく、アイドルになる夢を抱いていた。しかし代表の支配と虐待で次第に元気を失っていった」と苦しい胸の内を語った。
また「被害を訴えることすら恐れていた娘のために、最初は静かに問題を収めようとした。しかし、代表は態度を変え、脱退と専属契約の維持を一方的に発表。被害者が悪者にされる流れに、これ以上黙っていられなかった」と告発に踏み切った理由を明かした。
法的対応も進行中、「必ず責任を問う」

ガウン側の法律代理人は、「現在、江南警察署に告訴状を提出済みで、代表は被疑者の身分」と説明。近く警察への出頭が予定されており、厳正な捜査が進められる見通しだ。
また「これは児童・青少年に対する性犯罪であり、加害事実を認めた後も責任逃れを続けた深刻な案件」として、厳しい処罰を求めていく方針を示した。
今年夏に日本デビューが決定したことを発表したMADEIN。今後、事務所と元メンバーとのトラブルがグループ活動にも影響が出てこないか、心配の声が多く上がっている。